2012年4月7日土曜日

会陰切開


1.会陰裂傷の予防のため

会陰切開は多くは会陰が伸びきらず、裂けてしまう(会陰裂傷)と判断された場合に行われます。
経膣分娩の場合、医師や助産師は会陰が裂けないように会陰部にガーゼや手を当てて「会陰保護」を行っています。医師や助産師の技術はもちろん大切ですが、会陰部のかたさや伸び等ママの体質や、赤ちゃんの大きさや向きによって裂傷が起こることがあります。また勢いよく赤ちゃんが飛び出してきたときも会陰に強い力が加わりますから、裂傷を起こしやすいです。
特に初めての出産では、会陰が十分に伸びきらず、その頻度が高くなります。

会陰裂傷の程度は、傷口が表面だけのものから筋肉に及ぶものまで様々です。大きく分けて4つに分類され� ��います。


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1度会陰裂傷 会陰の皮膚、膣の粘膜など表面の組織に止まっている。
2度会陰裂傷 会陰の筋肉も損傷。肛門の筋肉は損傷されていない。
3度会陰裂傷 会陰の皮膚、膣の粘膜、会陰の筋肉だけでなく、肛門括約筋の一部または全体も損傷
セージは何を意味するのでしょうか?
gif">4度会陰裂傷
肛門括約筋全体と肛門粘膜、直腸粘膜の損傷

1度2度の会陰裂傷なら産後の痛みもそれほどではなく、数日で落ち着きます。
でも3度4度の会陰裂傷となると痛みも強く、産後の育児にも支障が出てきます。もちろん痛み止めを処方してもらえると思いますが、それでもかなりつらいです。

4度の会陰裂傷ともなると問題は痛みだけではありません。最悪の場合、直腸と膣の間に道を作ったまま傷が治ってしまい、膣から便が出てくるという事態になります。(直腸膣瘻:ちょくちょうちつろう)こうなってしまうと、不潔な便に触れないように膣を治療するため、一時的にお腹に人工肛門をつける手術を受け、膣を治療、その後また人工肛門をはずす手術・・・、と治療にとても時間がかかってしまいます。

こんな事態にならないよう、大きな裂傷ができる� ��予想される場合には会陰切開を行います。ちなみに会陰切開でできる傷はほとんどが2度会陰裂傷程度に相当します。


愛は自慢しません

切開を入れずに、会陰が切れてしまった場合、傷が小さい場合はさほど大きな問題はありませんが、大きく切れた場合は前述の通り肛門まで達する大きな傷になることもありますし、縫合も大変です。
縫合がうまくいかないと、直腸膣瘻になったり、また膣や会陰の筋肉の修復が不十分で支持力が低下します。これは産後の夫婦生活に悪影響を与えかねませんし、将来閉経の頃、筋肉が弱ってさらに萎縮すると膣から子宮や膀胱が出てきてしまう、子宮脱(しきゅうだつ)、膀胱脱(ぼうこうだつ)になる可能性もあるといわれています。
そこであらかじめ安全な方向に人工的に切開をしておけば、傷跡もきれいで、縫合もスムーズにいきます。ハサミで切った傷はまっ� �ぐで、縫いやすくまた治りやすい。と言う医師もいます。そんな理由から切開を入れることもあります。

<会陰裂傷が起こりやすい場合>
・膣の入口及び会陰の伸びが不良・・・初産婦(特に若年初産婦、高齢初産婦)
・赤ちゃんの頭が大きい・・・巨大児、胎位・胎勢の異常(逆子など)、回旋異常
・急速な分娩・・・過強陣痛、ママの努責が強い、鉗子分娩・吸引分娩

このような場合は特に会陰切開をすることが多いです。
でも赤ちゃんが元気で、お産にゆっくりと時間をかけられる状況であれば、会陰が十分に伸びるのを待ちます。

2.赤ちゃんのため


会陰切開はママのためばかりではありません。赤ちゃんも狭い産道を一生懸命頑張って通り抜けようとしています。陣痛やママの努責も赤ちゃんにとってはとてもしんどいことです。
あと一歩というところで赤ちゃんの心音の状態が悪くなって急いで出してあげなきゃならない状況のときがあります。そんな時は会陰切開をして産道を広げてあげます。

赤ちゃんの心音の状態が悪くなった時や、ママが疲れていきめなくなった時のお手伝いとして、鉗子分娩・吸引分娩が行われることもあります。鉗子や吸引カップを膣に入れるため、産道を広くする必要があります。また急速に赤ちゃんを引き出すので会陰裂傷も起こりやすくなるので、事前に会陰切開をすることが多いです。

また赤ちゃんの胎位・胎勢の異常、回旋異常は産道に余分なゆとりがない場合もあります。本来赤ちゃんは大きな頭の一番小さい部分が産道を通るように回りながら生まれてきます。でもうまく回旋できなかった時は、産道のゆとりもなくなってしまうため、会陰切開をして産道を広げてあげます。逆子の分娩では1番大きな頭が最後に出てくる形となり、時間をかけると赤ちゃんの危険性が高まりますので短時間で生まれてこられるよう会陰切開をします。

また早産など、未熟児の分娩では赤ちゃんの頭が産道に長く強く圧迫されると脳に損傷を及ぼす危険性があるため、多くの場合会陰切開を行います。

このような場合は、時間をかけて会陰が伸びるのを待っている余裕はありません。


メモルも出産の時、会陰切開をしました。
ほんとは「できるだけ会陰切開はしない」というのがバースプランでした。会陰は時間をかければ伸びるし、産後の痛みもつらそうだし、赤ちゃんもそんなに大きくないし、やっぱり切るということに抵抗がありました。だから赤ちゃんさえ元気なら切開はしたくない、と先生にも伝えてありました。
ところが実際に陣痛をあじわってみると痛いのなんのって。一刻も早くこの痛みから逃れたくて「切ってください!」って言っちゃいました。(^^;) 先生は「あれ?いいの?」って感じでしたが、その時はもうどうでもいいから早くしてくれ〜!って感じでしたね。
会陰切開をせず、時間をかけて会陰が伸びるのを待つということは、� �れだけ陣痛もあじわうということなんですよね。究極の選択・・・。(T▽T)



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